今週のお題「読んでよかった・書いてよかった2024」
2024年もあっという間に過ぎていきましたが、みなさんの読書生活はいかがでしたか?
今回は、はてなブログのお題の中から、私が今年読んで「良かった!」と思えた本をご紹介します。
その一冊は、湊かなえさんの『リバース』です。実は初めて読んだのは数年前。
しかし、文庫版が発売されたのを機に今年再読しました。
この経験が予想以上に新鮮で、コーヒー好きの方にはぜひ手に取ってほしいと感じました。
湊かなえ『リバース』とは?
湊かなえさんと言えば、巧みなストーリーテリングと心に迫る心理描写が魅力の作家さんですよね。
『リバース』もその期待を裏切らない一冊です。
主人公が抱える秘密や、その秘密を巡る人間模様が織り成す推理小説として、多くの読者に支持されています。
今回は物語のネタバレを避けつつ、『リバース』の中で印象的な「コーヒー」の要素に焦点を当ててお話しします!
コーヒーの香りとともに読みたい一冊
日常に溶け込む「コーヒー」の描写
物語の中で印象的に描かれる“コーヒー”の存在。
これは単なる小道具ではなく、人と人の距離感や心の揺れを象徴するように登場します。
読みながら、自分の好きな銘柄を調べたり、コーヒーを丁寧に淹れたくなったりする
そんな不思議な読書体験でした。
「読書って、五感で味わうものなんだ」
と実感させてくれた、数少ない作品のひとつです。
コーヒーが象徴する「人間関係」
物語では、コーヒーが登場人物同士のつながりを表す象徴としても登場します。
そのさりげない描写が、人間関係の深みや微妙な変化を引き立てています。
コーヒー好きの方なら、この独特の使われ方に共感し、物語への理解がさらに深まるのではないでしょうか。
また、作中ではさまざまな銘柄のコーヒーが登場します。
コーヒーにあまり詳しくない私でも聞いたことがあるような品種から、初めて聞く品種までさまざまです。
そしてどの品種も「調べたくなる」ような描写で、「自分が好きな香りはあるかな?」と思いながら読んでいました。
『リバース』を読めば、あなたもきっとコーヒーについて調べたくなるでしょう。
再読で気づく、細やかな伏線と視点の妙
主人公たちが辿る日常と、その過去。
『リバース』は、湊かなえさんの作品の中では珍しい「三人称視点」で進む物語です。
この視点が、読者に物語への没入感を与え、登場人物たちの日常や過去を追体験するような感覚をもたらします。
主人公たちが真相に迫る過程を、まるで自分がその場にいるかのような臨場感で楽しめるのが、この作品の大きな魅力なんです。
時間の流れや風景、空気感、さらには登場人物のわずかな感情の動きまで丁寧に描かれ、読者はその空間に引き込まれます。
この細やかな描写が、緊張感を高めつつも心地よい余韻を残してくれます。
読後にじんわり残る、ほろ苦い余韻
『リバース』の読後感は、まるで深煎りのコーヒーを飲み終えた後のような、ほろ苦くて、でもどこか落ち着くもの。
大人になった今だからこそ味わえる「余韻」が、読み終わった後の心にそっと残りました。
ミステリーやサスペンスを好む方はもちろん、人間ドラマや静かな感情の揺れを味わいたい方にもおすすめです。
まとめ|「感じる読書体験」をあなたにも
どうでしょうか。読みたくなってきましたか?
この本は、「次の展開が気になる!」というミステリー的な面白さだけでなく、読者の心の奥を静かにノックしてくるような作品です。
ぜひ、コーヒーを淹れて、静かな時間にじっくり向き合ってみてください。
あなたの2024年の読書生活に、そっと残る1冊になりますように。