
どちらも聞いたことはあっても、実際にどんなことが起きるのか、どんな風に日常と向き合っているのか──。
瀬尾まいこさんの小説『夜明けのすべて』は、そんな繊細なテーマを、やさしく、けれど真っ直ぐに描いてくれます。
この記事では、この作品を読んで私が感じたこと、思い出した出来事、そして同じように悩みを抱える方へのエールを込めて感想を綴っていきます。
※このブログは筆者個人の体験や感想をもとに書かれたものであり、医学的アドバイスや診断を目的とするものではありません。心身の不調を感じる方は、医師・専門機関にご相談ください。
- 偶然出会い、あらすじを読んで。
- アットホームな職場と、心が通い合う過程
- ふたりの距離感にドキドキしながら読んだ
- わたし自身の記憶と重なったシーン
- 私にとって「心の病」とは
- まとめ|心にそっと寄り添う物語
偶然出会い、あらすじを読んで。

ある日、書店でふと目に留まった可愛らしい表紙。
タイトルも優しくて、「どんな物語なんだろう」と手に取りました。
あらすじには、PMSを抱える女性と、パニック障害を患う男性──という紹介がありました。
私は不安神経症を患っており、PMSや生理不順のコントロールのためにピルを服用しています。
「これは、自分と通ずる何かがあるかもしれない」
そう思って、読み進めることにしました。
アットホームな職場と、心が通い合う過程

物語の舞台は、小さな職場。
美紗と山添くんの出会いも、とても静かで自然なものでした。
最初はただの同僚。
でも、少しずつ、お互いの「言葉にしづらい部分」を察していく過程がとても丁寧に描かれていました。
仕事中は真面目でおとなしい美紗が以外にも突拍子もないことを思いついたり、いつも気だるげな山添君が、実はスバスバもの言うタイプだったり……。
職場の間取りや、窓から見える景色など、頭の中にすっと浮かぶ情景描写も素敵で、ページを捲りながらそのシーンを想像しながら読みました。
この作品は、どこか懐かしい空気感に包まれているようでした。
ふたりの距離感にドキドキしながら読んだ

読み進めていくと、美紗と山添君の関係も少しずつ変化していきます。
後半になるにつれ、「このふたり、恋人になるのかな?」と淡~い期待をしなかったというと嘘になります。笑
でも、”男女の関係の変化”イコール”恋愛目的”じゃない物語なんです。
恋愛だけでなく、
「他人とわかり合おうとすること」
「そのままで受け入れること」
「今の自分にできること」
などが丁寧に描かれていて、心の深いところに届くような優しい物語でした。
二人が恋仲になったのかどうかは、ぜひ作品を手にとって確かめてくださいね。
わたし自身の記憶と重なったシーン

作中で、山添君が「メンタルクリニックの初診が1ヶ月以上先だった」と絶望するシーンがあります。
私も、会社でどうしようもなくなり、激しく動悸をおこしながら電話した経験があります。
「いよいよ自分がおかしくなっている」
「誰か助けてほしい」
と思って藁にも縋る思いで電話して、返ってきたのは「予約は1ヶ月後です」という事務的な言葉でした。
その瞬間、頭が真っ白になったのを今でも忘れません。
結果的には、すぐに受診できるクリニックを見つけることができたのですが、あんなに予約がいっぱいだなんて思ってもいませんでした。
急いで受診したクリニックも、同じように苦しんでいる方々で想像以上に混雑していましたね……。
私にとって「心の病」とは

私はパニック障害を発症したことはありませんが、推し活をしているなかで応援していたアイドルや俳優さんの中には、精神的な病で活動休止や卒業をした方もいます。
そんなとき、自分のことのように苦しくなります。
まだまだ、「心の病」は周囲に打ち明けにくいもので、家族でさえ理解が難しいこともあります。
私もそうでした。
でもこの作品は、
「誰かと生きる」
「誰かに知ってもらう」
「自分を知る」
ことの意味を、そっと教えてくれました。
まとめ|心にそっと寄り添う物語

『夜明けのすべて』は、静かだけど、確かな温もりをくれる一冊。
「自分だけじゃない」
「私にもできることがあるかも」
──そんな風に感じられたことが、一番の読後の余韻です。
PMSや不安神経症などに悩む方、心がちょっと疲れている方にこそ、ぜひ読んでほしいです。
調べてみたら、どうやら映像化もしているようですよ。
ひとりで抱えがちな悩みに、そっと寄り添ってくれるような一冊です。
この作品との出会いが、同じように悩む誰かの力になりますように。
